太閤秀吉が築いた初代大坂城の石垣を発掘・公開への取り組みと募金案内。

豊臣石垣コラム Vol.72

大阪城の撮影スポット 真南からの眺望

今回も城の写真家、岡泰行さんによる“大阪城の撮影スポット”第7弾をお送りします。大阪城の縄張りや城らしさが伝わる写真を求めて、今回は南側から見る大阪城と桜門を紹介していただきます。

今回は、大阪城を真南から望みます。大阪城南外濠のすぐ南に位置するKKRホテル大阪。その5階には大阪城を望むことができるテラスがあり、大手口から玉造口まで広く見渡すビュースポットとなっています。その場所から南外濠に面した二の丸の高石垣と天守を切り取れば、石垣が眼前に迫り高く見え、堅固さがより際立つ風景となります。

令和元年9月、この風景は世界に誇れる大阪の魅力ある景観を美しく眺めることができる場所として「ビュースポットおおさか」に選定されました。

写真1.KKRホテル大阪、5階テラスからの眺め

写真1.KKRホテル大阪、5階テラスからの眺め

(レンズ焦点距離 80mm・35mm換算)

撮影スポット

撮影スポット

写真1の撮影場所。KKRホテル大阪 5階テラス

写真1の撮影場所。KKRホテル大阪 5階テラス

さて、写真1の中央付近で木々に隠れた城門があります。本丸の正面入口の桜門です。桜門を通して蛸石と天守を望むこの風景は、大阪城を代表するアングルのひとつとなっています(写真2)。撮影は、人で混雑しない朝夕の時間帯が適しているでしょう。

写真2.桜門を額縁に蛸石と天守を望む

写真2.桜門を額縁に蛸石と天守を望む

桜門の両脇には巨石が据えられている。右側を「竜石」、左側を「虎石」という。
(レンズ焦点距離 24mm・35mm換算)

桜門は、明治元年戊辰の役の火災で半焼したといわれ、明治20年、旧陸軍によって再建されるも昭和20年の空襲でまた被害を受けます。昭和44年に解体修理が行われ、明治20年の姿に整備されています。

ここで桜門付近で珍しい構造を2点紹介しておきます。桜門は高麗門でその両脇には石垣があります。そこに石と石とを繋ぎとめる鉛の「ちぎり」を打ち込んでいた跡があります(写真3)。また、桜門の内側は入枡形となっていますが、その枡形に大阪城内の巨石で1位の大きさを誇る蛸石があり、西側には城内第3位の振袖石があります。この振袖石の底部に鉄の「くさび」が使用されています(写真4)。石垣石の奥にも使用し、石の安定を計るために用いたのだとか。ともに全国の城の中でも非常に珍しい構造です。この「ちぎり」の跡と「くさび」は京橋口の虎口でも見られます。

写真3.「ちぎり」の痕跡。鉛は失われている

写真3.「ちぎり」の痕跡。鉛は失われている

写真4.振袖石に使用された鉄の「くさび」

写真4.振袖石に使用された鉄の「くさび」

さて、次回のコラムは、いつも本コラムを執筆されてます、森 毅さんにバトンを戻して、大阪城の石垣について読み解きます。

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