太閤秀吉が築いた初代大坂城の石垣を発掘・公開への取り組みと募金案内。

豊臣石垣コラム Vol.66

大阪城の撮影スポット 青屋門からの眺望と高石垣

平成25年(2013)から連載を始めた当コラムは、今回で66回を数えます。多くの方々に協力いただき、大阪城の歴史に関わる話題を紹介してきました。今回は少し視点を変えて、城郭写真家であり“太閤なにわの夢募金”ホームページの運営にも携わっていただいている岡泰行さんに、岡さんお薦めの大阪城撮影スポットを紹介していただきます。 岡さんといえば、運営する城郭のWebサイト『お城めぐりFAN』の評価が非常に高く、城ファンにはよく知られた方です。城郭の魅力を熟知した岡さんの視点から、大阪城の魅力を紹介していただけるものと思います。

青屋門付近から本丸と天守を望む

写真1.青屋門付近から本丸と天守を望む

(左手の石垣が本丸高石垣、右手が山里曲輪石垣)

お城の魅力は、見る角度、高さ、時間帯や天候により刻々と変化するその表情の豊かさにあります。もちろん大阪城もその例に漏れず、観る条件が違えば全く別の一面を見せてくれる、実に多彩な表情の持ち主です。そんな大阪城の素晴らしい眺望を写真から探り、おすすめの撮影スポットをいくつかご紹介したいと思います。

まず私がおすすめするのは、「青屋門」からの眺望です(写真1)。青屋門は、二の丸にある4つの出入口のひとつ、青屋口にある城門で、二の丸の北東側、つまり鬼門に位置しているため、江戸時代は災いが入ってこないよう普段は閉ざされていたそうです。現在はJR大阪城公園駅や大阪メトロ・大阪ビジネスパーク駅から最寄りの門となっています。

そして、その青屋門の横にある石垣こそが、山里曲輪をはじめとした本丸を間近に望むことができる絶好の撮影スポット。二の丸城内側にある階段から石垣の上に登り、木々の切れ目から本丸高台上にそびえる天守の姿を狙うと、天守の高さをより表現することができるでしょう。石垣東面に日の当たる午前中の撮影が特におすすめです。

青屋門

青屋門

写真1の撮影場所

写真1の撮影場所(城内側の石垣上から)

撮影スポット

撮影スポット

また、青屋門から本丸を望んだ時、圧倒的なスケールで目に飛び込んでくるのが、本丸東面にある壮大な石垣です(写真2)。訪れた誰しもが驚くその石垣は、32メートルという日本一の高さを誇ります。ちなみに第2位の城は、大坂城から約55キロ東にそびえる三重県・伊賀上野城の本丸西面石垣 で、高さ29.5メートル。大坂城の石垣は東面、伊賀上野城の石垣は西面なので、ちょうど両城の石垣が向かい合う形となっています。姫路城や彦根城と同じく大坂城包囲網のひとつである伊賀上野城の石垣が、大坂城の石垣とにらみ合う―。もっとも、現在の大坂城は徳川期大坂城ではありますが(両城とも藤堂高虎の設計)、そこは豊臣期大坂城に置き換えて想像したくなるのが歴史好きのロマンチシズムなのかもしれません。

写真2.日本一の高さを誇る本丸東面石垣

写真2.日本一の高さを誇る本丸東面石垣(32m)

(写真は水堀のすぐ側から撮影)

話を戻しましょう。この大阪城の石垣を撮影する際は、やはり堀の水面が鏡面反射している風景を収めたいもの。そのためには、風の吹くことが少ない早朝が最適です(写真は7月上旬の午前8時撮影)。この時間帯はちょうど太陽が低い位置から差すため、水面が青空を映し、大変美しい水色となります。天気の良い日を狙って、トライしてみてください。

さてこの付近でもう1枚。青屋門から本丸に登城するには、本丸の北側にかかる極楽橋という橋を渡ります。一説によるとこの橋は、大坂本願寺時代、豊臣期大坂城の時代にも存在しており、現在の大阪城でもその名称が引き継がれています。今見る橋は鉄筋コンクリート製ではありますが、古くからこの場所にかかる橋と共に、水堀や石垣、天守を捉えると、歴史の香り漂う写真になるでしょう。

大阪城極楽橋と天守

写真3.極楽橋と天守

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